Slice of Life #1

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第1回は、徐州で出会った中国地方都市の若者の素顔(前半)です。

徐州は江苏省の西北部に位置する、人口940.95万の都市です(百度より引用)

一週間の滞在中、大学生、高校生、ビジネスマン、経営者、教師、中退した若者、
フリーターなどをインタビューしてきました。ダンスや芸術という個性を生かした
フィールドで、がんばる若者が目立ちました。




(写真)徐州文化芸術学院(高校)の授業で、ストレッチをするWang Lu Qiao(当時16歳)






(写真)徐州市内の広場で行われたダンス・コンテストの際に、熱狂するファン






(写真)徐州市内のHip-Hopダンススクール, Rui Xinからの市内風景






(写真)Hip-Hopダンススクール, Rui Xinの授業風景







(写真内以下)
Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: コンピューター 理由:映画や音楽を楽しむため

Q: 一番ほしいものは?
A: 自転車。もう一つは、旅行

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 世界終焉の予言





Slice of Life #2

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第2回は、徐州で出会った中国地方都市の若者の素顔(後半)です。

徐州は江苏省の西北部に位置する、人口940.95万の都市です(百度より引用)

一週間の滞在中、大学生、高校生、ビジネスマン、経営者、教師、中退した若者、
フリーターなどをインタビューしてきました。ダンスや芸術という個性を生かした
フィールドで、がんばる若者が目立ちました。




(写真)Wang Jia,(21才)が背中のタトゥ−を見せてくれた。フリースタイルのラップを得意とする彼は、将来音楽で成功したと語った。






(写真)知り合いから「No Name」と呼ばれる19才(実名拒否)。現在の生活は、暇で寂しく、気力もないと語る。週に何度か、仲間と集まりスケートボードで時間をつぶす






(写真)徐州の都市部。開発のための工事が目立つ






(写真)街のスケーター







名前: He Huan/年齢 :28/職業: 会社員

(写真内以下)
Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: コンピューター 理由:映画や音楽を楽しむため

Q: 一番ほしいものは?
A: 睡眠。仕事が忙しく睡眠時間が少ない。1日4−5時間

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 国際金融





Slice of Life #3

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第3回は、益阳で出会った中国地方都市の若者の素顔(前半)です。

益阳は湖南省に位置する、人口463万の地方都市です(百度より引用)。

KTVが大好きだと語る大学生や、週1日の休日も返上して勉学に励む中学生などに出会いました。カフェや会員制スポーツジムが、街の中心部に目立ちました。




(写真)休みを利用してKTVを楽しむ湖南城市学院の大学生






(写真)アパート1階のテナントを借りて行われるダンスの授業






(写真)湖南城市学院の周辺に密集するネットカフェ







HeXueBo(右)24歳。会社を辞め、現時点バックパッカー。ZhangTianHao(左)26歳。バックパッカー

(写真内以下)
HeXueBo

Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: 楽しさ 理由:人生は楽しいときに、興を尽くさなければもったいない。こころゆくまで飲まないと、綺麗な月に申し訳ない。(将進酒からの一節を引用)

Q: 一番ほしいものは?
A: ビール。理由:飲むと愉快な気分になれる

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 天気状況

ZhangTianHao

Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: 水 理由:生命の源

Q: 一番ほしいものは?
A: 愛。理由:愛

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 玉树地震





Slice of Life #4

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第4回目は、益阳で出会った中国地方都市の若者の素顔(後半)です。

益阳は湖南省に位置する、人口463万の地方都市です(百度より引用)。

到着1日目に中心街をブラブラあるいていると、野外カラオケ・コンテストが開かれていました。夜空に突き出る新興ビルに向い、不思議な色のスポットライトで照らされたパフォーマーが印象的でした。湖南城市学院では、小規模な体育祭が行われていました。大学周辺の野外ビリヤードは、いかにもステレオタイプ的な地方の中国でした。




(写真)野外カラオケ・コンテストの様子






(写真)大学周辺のビリヤード場






(写真)湖南城市学院で行われた体育祭。紙の地雷を踏まないように、目隠しをしたパートナーを誘導する







Yin Gangさん(右)29歳、大学の講師。Zeng Wenさん( Yinさんの妻)26歳、同じく講師
(写真内以下)
HeXueBo

Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: パソコン 理由:そこから色々な情報を入手できるから

Q: 一番ほしいものは?
A: 家族の健康。理由:安心して仕事ができる

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 家の価格と内装工事にかかる費用





Slice of Life #5

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第5回目は、唐山で出会った中国地方都市の若者の素顔(前半)です。

唐山は河北省に位置する、人口757.73万(2010年)の地方都市です(百度百科より引用。

China Youthologyと共同プロジェクト「China Normal」で訪れた最初の地方都市で、中国に来て1年目の私には新鮮且つ驚きの多い地方都市でした。

インタビューの結果、家族や親戚の繋がりを密にする地方では、仕事や婚約者も家族が見つけてくるという風習が残っているという事実を聞きました。大学を卒業しても就職難だと答える学生もこの都市で多く見られました。都市化が進み便利になる唐山では、わざわざ物価や社会的ストレスの高い第一都市に上京する若者が減っているという状況も学びました。




(写真)花嫁を自転車で迎えにいく花婿






(写真)市内の発展地区






(写真)ナイトクラブ







ナイトクラブ







(写真内以下)
名前:Ying Ying・年齢:23歳・職業:クラブダンサー

Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: 携帯。 理由:友達と連絡を取るため

Q: 一番ほしいものは?
A: 車。理由:便利

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 唐山大地震





Slice of Life #6

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第6回は、唐山で出会った中国地方都市の若者の素顔(後半)です。

取材前の疑問として、唐山の若者は24時間をどのように過ごしているのだろうという問いがありました。取材した若者は大学生や高校生が多数だったので、1日のうちで「勉強」に最も時間を費やすと答える若者が多い結果となりました。在学中にバイトする学生が稀である事実には驚きました。一人っ子の彼らが、親から得る支援とプレッシャーを肩に日々を過ごしていることがわかりました。

こんな質問もしてみました。「貴方の夢や目標はなんですか?」。返答の9割が「 幸せに暮らすこと」でした。しかし堀りさげて質問すると、明確な目標や夢がない若者がほとんどでした。唐山のような第三級都市の発展は著しいものがあり、沢山の若者が都市の発展と未来に期待を寄せているそうです。しかし、発展に伴う自分の将来に関しては不安や疑問が募るばかりで、何かを探し求めるよりも、今の現状を維持できればという考え方が強いようでした。インタビューを行った高校の先生は、指導する若者に関して次のように言っていました。

「今の若者の生活において物質的欲求はすでに満たされている。欲しいものは与えられてきた」一人っ子政策の一年生(1980年生まれ)は、今年で満28歳です。彼らが想像する「幸せな暮らし」が、今後実現できる中国であればと願います。




(写真)学生寮の室内。4人から6人で一室を共用する






(写真)寮内の壁にかけられたポスターやカレンダー






(写真)唐山市内の繁華街







繁華街内の露店で出会った若者







(写真内以下)
Xu Bin・年齢:29歳・職業:デパート内のアパレル店経営

Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: 猫。シンプルな幸せをくれるから

Q: 一番ほしいものは?
A: 私自身の本屋。理由:見たことのない人や出来事や物に出会うことができるから

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: 私のお店







Slice of Life #7

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第7回は、肇庆で出会った中国地方都市の若者の素顔(前半)です。

肇庆は広州省中西部に位置する人口405万人の都市です(百度百科より引用)。

今回はいつもと少々形式を変えて書きます。

先日、私が連載しているこの「Slice of Life」のもととなったリサーチプロジェクト「China Normal」をいっしょに行ったマーケティング・リサーチ会社「China Youthology 」が、同社のクライアントであるドイツのある自動車メーカーに向けてプレゼンテーションを行いました。プレゼンのクライアントであるその自動車メーカーが、中国で自動車工場の設立にあたり、雇用する「migrant youth(出稼ぎ若者労働者)」について知識を深めたいとのことで、2年前に我々が行ったプロジェクト「China Normal」が再び注目されることとなりました。

そのなかで、今回の連載対象の都市である肇庆の若者に関する興味深い質問応答が交わされたので、紹介したいと思います。

同じくプレゼンターとして参加した北京師範大学の教授が説明した資料によると、1980年生まれ(一人っ子政策下)の出稼ぎ労働者は、現在約1億人にのぼるそうです。そのうち、92.3%は未結婚。4分の1以上の若者は、親が同じく出稼ぎ労働者で幼少期に親不在の家で育った経験を持つ若者だそうです。

約2時間に渡り交わされた質問応答のなかで、90后と80后の出稼ぎ労働者についての討論は印象深いものでした。90后の若者は、80后よりも趣味や興味をもとにマイクロ世代化(年齢別に細かく分けられたグループ)されたグループ意識が多様なようです。90后の若者が、より多くのサブカルチャーを発信する起点となっているのもそのためです。また、90后は先輩である80后から都市労働での困難や苦労を学んでいます。その代表的なものに、戸籍問題があります。戸籍問題とは、地方出身者は都市で戸籍が持てないため、将来子どもを持っても子どもが公立小学校に通えないなどの問題です。発展が著しい第3または第4都市の90后は、生活が困難な都市に出稼ぎに出る必要性に疑問を感じています。

私とChina Youthologyのリサーチャーが肇庆でインタビューをした90后(専門高等学校生)は、「お金を稼ぐことは大切であり、成功者のわかりやすいステータスであるけれども、浪費欲以外の精神的充実を模索している」と言っていました。お金を稼ぐというのが、出稼ぎ労働者の原動力であることは間違いないのですが、とりわけ90后に関しては、発展する社会でお金以外の幸福感を求め始めているようです。プレゼンに参加したChina Youthologyのリサーチャーが「90后は年齢さえ若いが考え方は80后よりも成熟している」と言った言葉に一同首を縦に頷いていました。




(写真)サッカークラブで汗をかく大学生






(写真)カメラに興味津々の子供達






(写真)大学のクラス風景







(写真)開発が進む肇庆市内の傍ら






(写真)ローラーブレイドを楽しむ高校生







Slice of Life #8

2016年8月22日 / Slice of Life

連載第8回は、肇庆で出会った中国地方都市の若者の素顔(後半)です。

プレゼンのクライアントからの要請で、中国の出稼ぎ若者労働者が短期間で転職する傾向について話し合いました。前章で紹介した北京師範大学の教授が説明した資料によると、 出稼ぎ若者労働者の問題として、全体(約1億人)の75%は3年以内に転職する統計になっています。クライアントは自動車メーカーのため、工場で養成した技術職の流出を食い止めなくてはという危機感が強く、その解決方法を、若者の理解を深めることに求めました。

続いてクライアントからの問題提起により、企城下町構想や福利厚生の充実がどのくらい現代の中国で生活する若者に魅力的なのか議論されました。短期転職の原因として、キャリアアップという手段や、自分の市場価値を高めるなどの主な理由以外に、「彼らは自分に合う職をさがしている」という意見がYouthologyの参加者側から出ました。特に情報の多様化が目覚ましい90后の若者には、ソーシャルネットワートの横の繋がりを活用した「転職」による「天職」探しが盛んだそうです。

クライアントが示す企業城下町構想や 福利厚生の充実以外に、Youthologyのメンバーは「精神的繋がり」の重要性を伝えていました。この「精神的繋がり」というのは、従業員が雇用者や企業に対して求めるものではなく、従業員同士の繋がりや彼らの会社内でのコミュニティーを指します。働くということに対して、利益追求だけではなく、同僚との仲間意識や共同性が、彼ら従業員一人一人のそこに存在しているという自覚に大きく影響するらしいです。結果、その自覚が長期的な雇用慣行を促進し、またフォックスコン(富士康:台湾に本社をもつ世界最大のEMS企業で、中国本土に工場を持ち、アップル社からは携帯端末であるiPhoneおよびiPadの生産も受託する)で起きたような過酷な労働状況での自殺者の減少にも役に立つのだとYouthologyメンバーは言いました。

私が訪れた肇庆では、ある会社の従業員達がお昼休みを利用して、川辺で裸足になり、同僚達と歌ったり、踊ったりしていました。週に数回、会社で決められている活動の一つだと教えてくれました。白いワイシャツに黒のスラックスを着た彼らは、生き生きした表情で仲間との交流を深めていました。




(写真)お昼休みを利用して、交流を深めるある会社の同僚達






(写真)肇庆市内の大学生寮






(写真)ナイトバザール







(写真)名前:Zhong Minhuaさん、年齢:21歳、職業:大学生

Q: 生活の中で最も手放したくない物は?
A: お金。いろんなとこへ旅行したいから

Q: 一番ほしいものは?
A: 手の凝った手作りプレゼント。プレゼントは、その人の表現の方法を表す。手作りのものを貰うと幸せな気分になれるから。

Q: 最近もっとも気になる事情は?
A: テスト結果と健康







Slice of Life #9

2016年8月22日 / Slice of Life

連載9回は、吉林市で出会った中国地方都市の若者の素顔(前半)です。

吉林市は吉林省に位置する人口441万人の都市です。(百度百科より引用)

私が「China Normal」プロジェクトのため、2010年に吉林省を訪れた際、同省长春から吉林市へ向かう途中に通った未開発の荒野はなぜか印象的でした。この道の先に第三都市吉林市がちゃんと現れるのか不安に感じていました。

长春を出発して数時間後、吉林市内へ到着しました。街は想像以上に整備されていて、ショッピングモールや繁華街が多く見られました。その繁華街の一角に降ろされた私は、既に現地入りしていたChina Youthologyのメンバーと合流し、さっそく取材を始めました。市内の东北电力学院を訪れた際に、私たちは大学生カップルと出会いました。そのカップル曰く、彼らのクラスの3分の1の男女はつき合っていると教えてくれました。中国の地方では、いまだ親同士が縁組みをする風習が根強く残っています。そのなかで、彼らの解答は意外でした。

「結婚するの?」という質問に、「卒業後は就職が先だ」と双方同意を示し、就職後の結婚を考えていると伝えてくれました。
 
吉林市を訪れた翌年に「裸婚時代」というテレビドラマが中国で流行しました。「裸婚」とは、2008年にインターネット上で生まれた新語で、マイホームもマイカーもなく、結婚指輪も挙式もなしで婚姻届を出すことです。

地方経済の発展が男女間の思想を家族中心の風習から個人的自由恋愛に変える大きな要因の一つになっていると思います。しかし、地方経済の発展は一方で広がる経済格差を助長しています。上記に示したような物理的な要求が高い中国人の結婚には、物価上昇に伴う、経済的に過大なプレッシャーを感じている男性が多いという事実も浮き彫りになっています。

ある調査によると「裸婚」に賛同する八割の男性に対して、七割の女性は消極的という事実もあります。中流階級の浮上よりも経済格差が膨らむ一方の中国で、これからさらに新しい形の男女間が生まれてくるのではと思います。




(写真)东北电力学院で出会ったカップル






(写真)吉林市






(写真)早朝の公園風景







(写真)レストランのオープニングのために打ち上げられた花火を車から眺める若者







Slice of Life #10

2016年8月22日 / Slice of Life

連載10回は、吉林市で出会った中国地方都市の若者の素顔(後半)です。

「吉林の夜は屋台だよ」とyouthologyのメンバーHelenが教えてくれた。

同市出身の彼女とさっそくナイトバザールへ出かけた。歩行者天国にぎっしりと並ぶビニールテントの屋台では様々な食べ物が売られていた。店先に並ぶ海鮮や肉料理の豊富なこと、またそこに集まる人の多さには驚いた。活気に満ちているという印象だった。

話は吉林から変わるが、粉ミルクや牛乳、最近では私の大好きな羊肉串(ヤンロウチュアン)の羊肉偽造問題など、食品に関する悪質なニュースが目立つ。知り合いの中国人とこの手の話になると、日本の高度成長期の食品問題を指摘されることがある。問題摘発後の対処と、その事例によるモラルの形成が大切だと思うのだが、中国ではこの手のニュースが一向に止む気配はない。人口的絶対数が多い分、自然とこのような問題も日本のそれと比べると二乗されるのだろうか。兎に角、アパートの下に並ぶ小さな軒下食堂とでも言うべき低価格な食べ物に、これまでのように気軽に手が出せなくなったのは事実であり、悲しいことだと感じている。

吉林は東北(ドンベイ)地方に含まれる。ドンベイの人の気質は、かんしゃくもちで、気が強いと知り合いの中国人は教えてくれた。私の知り合いにも、多くのドンベイ出身の友達がいるが性分は皆それぞれだ。ただ、吉林のナイトバザールで出会った若者は、上半身裸で酒をグイグイ飲み干す、粋がいい青年達だった。元気な下級都市の若者達を見て、更なる発展を想像できたのも事実で、これは私が訪れた他の4つの下級都市すべてにおいて共通する感覚だった。彼らの前向きな明るさに触発され、中国理解を更に深めたいと強く感じた。




(写真)吉林市内のナイトバザールにて、お酒を一気飲みする若者達






(写真)吉林市内のナイトバザール






(写真)吉林市内でウエディングドレスを試着する女性







(写真)吉林市内の公園